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カート

カートが空です

Iwanagami the Brand Story

BRAND STORY

帰光——あなたの肌のうえで、
もう一度、光が還りはじめます。


——

ことばより先に、手が動いた。

スリランカへ渡ったのは、2025年の春のこと。
ジュエリーとは、それまで縁のない人生を歩んできた。

目的も、同行者も、何も知らされていなかった。
「一緒に行こう」という、信頼する知人のひとことで、
二つ返事でチケットを取った。

——人生の扉は、だいたいそんなふうに開く。


スリランカ / シーギリヤ

——

赦しの場所

降り立った最初の日、シーギリヤロックを見上げた。

赤茶けた巨岩がジャングルのただなかにそびえ立つ。
人の手と、自然の力と、千数百年の信仰が交わるその場所には、
ことばにならない重みが漂っていた。

何かを始めるための赦しを、ひっそりと授けられた——
そんな気がした。

——

石は、歴史

祈りを捧げながら、ふいに言葉が降りてきた。

石は、歴史。

だからなんなのだ、と思いながらも、その言葉を口の中で繰り返していた。石は歴史。石は歴史。

すると、そのつぶやきを聞きとがめた現地ガイドが、わたしにこう言った。

「マダム、石がお好きですか?近くで見られる場所があります」

——それが、すべての扉を開いた。

——

石が、わたしを選んでいた

ガイドに連れられて立ち寄った宝石店。採掘から研磨、制作まで一貫して手がける地元の店で、職人の手仕事を眺めていると、いつの間にか時間を忘れていた。

店長がペンダントを並べてくれた。そのなかの一つを手のひらに乗せたとき、胸の奥がひっそりと動いた。ことばより先に、何かがそこにあった。

「この石、なんだか気になります」と伝えると、彼はうなずいて、また別の石を持ってくる。選ぶ。また出てくる。選ぶ。また出てくる。

——そのやりとりを、何度繰り返しただろう。

ひととおり選び終えたところで、彼は静かに言った。

「あなたが気になると言われた石は、すべて非加熱のものです」

その日まで、わたしは「加熱」と「非加熱」というちがいを知らなかった。


原石 / 工房の様子

——

火が奪うもの

世界中で流通するルビーやサファイアの大半は、数百度から千度近い熱を加える「加熱処理」を施されている。

火を入れることで、石の内部のくすみや色ムラが消え、より鮮やかな——「美しいとされる色」が引き出される。

その歴史は、驚くほど古い。スリランカの遺跡には、紀元前に加熱処理されたサファイアが残っている。古代エジプトにも、古代インドにも、石の色を整える技術の記録がある。

美しさのために、人は石に火を入れてきた。それは、何千年と続く営みだ。

ただ、わたしの手は、火の入った石を選ばなかった。理屈ではなく、ことばより先に。

では——火を入れられた石は、何を失っているのだろう。

——

石は、太古の水を抱いている

天然の宝石は、結晶のなかに、ごく微細な水を閉じ込めている。地質学では「流体包有物(フルイド・インクルージョン)」と呼ばれ、石が地中で生まれるまさにその瞬間に取り込まれた水だ。一度結晶に閉じ込められれば、石が割れない限り、外へは出ていかない。

カナダ・オンタリオ州の深い鉱床では、結晶のなかで20億年以上眠り続けてきた水が発見されている。地球がまだ若く、生命が形を持ちはじめたばかりの頃の水だ。

水は、出会うものすべてを、その内側に映し取る。

神戸大学のツェンコヴァ・ルミアナ教授が提唱した「アクアフォトミクス(水光道)」という研究がある。光と水の対話を読み解く学問で、いまや12か国以上の研究機関に広がっている。

この研究が明らかにしたのは——水分子は互いに手を取り合い、ほどけ、固く結ばれながら、500を超える異なる結合のかたちを生み出しているということ。そしてそのネットワークは、熱、光、音、ミネラル——周囲のあらゆる振動を、きわめて鋭敏に映し出す。

水は、ただそこにあるのではない。出会うものすべてをやさしく映し取りながら、たえずかたちを変えていく。研究者たちはそれを「水鏡(Water Mirror)」と呼んだ。

2022年、和歌山・ゆの里のラボと神戸大学の共同チームが、こんな実験を発表した。ピアノの音を、水に聴かせる。同じ曲を、432Hzと440Hzの——わずか8Hzだけ違う調律で。それから水の構造を精密に読み取ると——

わずか8Hzのちがいで、水は明らかに異なる姿を見せた。

水は、どんな音を聴いて生まれてきたかを、その構造そのものに、しずかに刻んでいく。

——つまり、水とは、出会ってきた振動の総体なのだ。

わたしたちの身体の、およそ六割は水でできている。そして、宝石が結晶のなかに閉じ込めている太古の水も、水であることに、変わりはない。

加熱処理は、その水を消す。

透明度を高めるための火が、石の奥深くで眠っていた古の水を、永遠に揮発させてしまう。美しさを引き出すという行為が、同時に、石が抱いていた最も古い記憶を奪うことでもあった。

——わたしの手のひらが、ことばより先に応えていたのは、たぶん、そういう水だった。


非加熱の宝石 クローズアップ

——

縁という名の、必然

スリランカで出会った人のなかに、紀伊貴子(きい たかこ)さんがいた。ジュエリーデザイナーだという。住まいを聞いて、驚いた——奈良県の、わたしの隣の町だった。

スリランカで初めて会った相手が、日本に帰れば隣に暮らしている。そういう旅だった。

翌日、貴子さんに誘われて、スリランカの鉱山を束ねるラッド・パリタ氏のもとへ向かった。そこで、大粒のアレキサンドライトが手のひらに置かれた。光の角度ひとつで、石の奥底から青へ、赤へと色が動いていく。火を入れられたことのない、生まれたままの石にしかできない振る舞いだった。しばらく、ことばが出なかった。

そして知った——貴子さんもまた、非加熱の石だけを扱うジュエリー作家だった、ということを。

書き換えられない石を、書き換えないままで仕立てる。
その一点で、わたしたちはまっすぐに重なった。

一本の電話。シーギリヤでの遙拝。ことばより先に動いた手。隣人との出会いと、ラッドさんが見せてくれた石。

ひとつひとつは、たまたまだったかもしれない。けれど、いま振り返れば、すべてが手をつないでいた。

——

IWANAGAMIの誕生

帰国してから一年。鉱山と工房と、ふたつの国を何度も行き来しながら、わたしたちはひとつのブランドを立ち上げた。

IWANAGAMI(イワナガミ)。
岩のうえに、ひそやかに宿る美——という願いを、その響きに込めた。

最初のコレクションは、「帰光(KIKO)」と名づけた。

光が、あるべき場所へ還っていくこと。火に書き換えられない、本来の輝き。地球が幾億年もかけて結晶のなかに閉じ込めた、振動の総体としての水を——そのまま、あなたのもとへ。


帰光コレクション

——

あなたの中の水へ

宝石は、結晶のなかに、太古の水を抱いている。そして、わたしたちの身体もまた、六割を水でできている。

水は、出会うものすべてを映す鏡だ。

それなら、肌のうえに置かれた一粒の宝石は、あなたの内側を巡る水と、静かな対話を始めるのかもしれない。

それは数値で測れるものではなく、身につけた人だけが知る、ごく個人的な感覚です。

けれど、ひとりの作家が一年かけて非加熱の石だけを選び抜き、ひとつひとつ手で仕立てた一点があなたの肌に触れる——その行為そのものに、すでに何かが宿っているとも、わたしは思うのです。

IWANAGAMIのジュエリーは、すべて受注制作です。同じ石はふたつとなく、同じ時間を抱えた石も、世界にひとつしか存在しません。

あなたのために、あなたのもとへ、地球の記憶がひとつ届くということ。

そしてもしかしたら——スリランカの宝石店で、わたしの手がことばより先に応えていたように、いまこのページにたどり着いたあなたにも、すでに呼ばれている一粒があるのかもしれません。

帰光——あなたの肌のうえで、もう一度、光が還りはじめます。


IWANAGAMI ファウンダー

江島 直子


INTERVIEW

スリランカで出会ったジュエリーデザイナー、紀伊貴子さんとの対談
YouTube「江島直子チャンネル」にて公開中

▶ 対談動画を見る

IWANAGAMI — About Sinhalite

シンハライトという、
奇跡の石について。

On Sinhalite — A Stone of Miracles

コレクションを見る →
帰光 KIKO コレクション

Rarity

同じ品質の石が、
継続的に手に入るとは限りません。

シンハライトは、宝石業界の中でも「知る人ぞ知る石」として、静かに存在し続けてきました。

結晶が小さいため、ジュエリーとして使えるサイズに仕上がる個体はごくわずか。流通量が限られていることも、この石を特別な存在にしています。

シンハライト原石
シンハライトを扱う職人

Sinhalite

シンハライトとは

シンハライトが宝石として正式に認識されたのは、1952年のことです。それまで別の石と混同されていたこの鉱物が、独立した新種として分類されたのは20世紀も半ばを過ぎてから。

産地は主にスリランカ——古来より「宝石の島」と呼ばれるこの地においても、産出量は限られています。

スリランカの風景

Unheated & Untreated

非加熱・無処理であることの意味

現代の宝石市場では、色や透明度を高めるために加熱処理を施すことが一般的です。

しかしシンハライトの内部には、石が形成された当時の水分や気体が結晶の中に閉じ込められています。「流体包有物」と呼ばれるこの内包物は、石が生まれた時代の痕跡です。

加熱処理はこの構造を変質・消失させます。そのため、非加熱・無処理のシンハライトは、加熱処理された石と比べて流通量がさらに限られます。

IWANAGAMIが非加熱・無処理の石を選ぶのは、その「変えられていない状態」をそのままあなたのもとへ届けたいからです。

天然シンハライト鑑別書

変えられていない石を、そのまま身に着ける。

帰光 -KIKO- を見る →
シンハライトの光

Optical Properties

黄色でもあり、
緑でもあり、金色でもある。

シンハライトの光は、一言で言い表すことが難しい。見る角度によって表情が変わり、一瞬として同じ光を見せません。

これはシンハライトが持つ多色性によるものです。透明度の高い個体にカットを施すことで、石の内部で光が複雑に反射し、他の宝石には見られない静かな揺らぎが生まれます。

Our Philosophy

IWANAGAMIが
この石を選ぶ理由

美しさだけが、理由ではありません。

非加熱であること。流体包有物が残っていること。限られた場所でしか生まれないこと。これらが重なり、シンハライトは「地球の時間を内包した石」として存在しています。

加工によって整えられた美しさではなく、ありのままである状態の価値。IWANAGAMIは、その在り方に共鳴し、この石だけを選び続けます。

石の記憶と、あなたの記憶が響き合う瞬間があるとしたら——それがこの石を身に着けることの、本当の意味だと私たちは考えています。

IWANAGAMIのジュエリー

石の記憶と、
あなたの記憶が
響き合う。

帰光 KIKO コレクション

あなたが感じた直感は、
すでに答えかもしれません。

非加熱・無処理のシンハライトを、K18イエローゴールドと天然ダイヤモンドで包んだ受注生産のジュエリー〈帰光 -KIKO-〉

この石と出会う →